「他人は変えられない」って言うけど、じゃあどうしたらいいの?
人の気持ちを変えることは難しく、無理だということを実感しています。
となれば、もう諦めるしかなく”自分をわかってもらおう”と期待したり、”変わって欲しい”と望むのはやめようと思いました。
そこまでは良かったんですが、自分の気持ちにどう整理をつけたらいいか、正直わかりません。
アドラー心理学では、「馬を水辺に連れていくことは出来るが、水を飲ませることはできない」ということわざを使って、“他人の課題に介入しないこと”の重要性を説明してくれています。
自己啓発などでは、「過去と他人は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ」という格言が紹介されたりしています。
他人が間違っていると感じた時、自分の真意が伝わらず誤解されてしまった時、他人の行動や考え方を変えようとしてしまいますよね?
先に結論からお伝えすると、「他人は変えられない」というのは半分ウソで半分ホントです。
しかし、他人は変えられないと思っておいた方が圧倒的にストレスは少なくなります。
他人を変えるには、忍耐が必要だからです。
他人が変わる時は、相手が「変わろう!」と決心できる状態まで待たなければいけません。
他人に対する考え方としては、
「期待をかけるけど、期待しない」
という感じのニュアンスです。
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他人は直接的には変えられない、間接的に変わる
「過去と他人は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ」
これは、本質をついた名言です。
しかし、過去に関して言えば、事実は変えられませんが解釈は変えられます。
他人は他人の考えで動いているので、”何か働きかけないと”変わりません。
ここで多くの人がしてしまう間違いが、相手をコントロールしようとして説得したり、怒鳴ったり、無視したりすることです。
相手を自分の思惑通りに無理やり動かそうとして膨大なエネルギーの無駄使いをしてしまうんです。
その結果、関係がこじれたり悩みや苦しみを抱えて、悪い結果になってしまいます。
他人を変えようとして躍起になってしまう悪いパターンです。
他人を変えられる可能性があるのは、当の本人が納得した時のみです。
正しい心の持ち方としては、「他人が変わるのを期待しないで、変わる時が来るのを待つ・信じる」ということです。
これは、これから子育てをする上でも大事な考え方です。
励ましたり、気持ちを言葉にしたりして、きっかけ作りは自分の工夫次第でどうにでもなります。
でも、最終的な判断は相手にゆだねる以外ありません。
北風と太陽の寓話を思い出してみて下さい。
北風は、旅人のコートを脱がせようと必死に風を送りました。
でも、旅人はコートを脱ぐどころかどんどん着込んでいってしまいましたね。
これは、人間にも反発という形で起こります。
直接「あれがダメ」「これがダメ」と指摘されると、心が反発するんです。
友人や彼女相手に、「はい!わかりました!すぐ治します!」って言える人ってどれくらいいると思いますか?
北風とは対照的に、太陽は自分に出来ることに全力を注ぎました。
すると、旅人は自分の意志でコートを脱ぎ始めました。
だから他人を直接的に無理やり変えようとすると反発されますが、間接的に働きかけることで、自分の意志で「変わろう!」と思わせることは出来ます。
北風と太陽の寓話から、人間関係の本質まで学べるんです。
次は間接的に働きかける手段についてお話します。
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あなたも僕もマネして成長してきた
他人を変えるためには、「ああしなさい」「こうしなさい」と直接的に働きかけるのは、時間と労力の無駄と言えます。
そんな時間とエネルギーがあるなら、自分の向上のために使った方が有意義です。
間接的に働きかけるというのは、意識しなくてもみんなやっていることなんです。
子供は親のマネをします。
考え方・価値観・しぐさなどが親に似てくるのは、親の影響を最も受けている証拠です。
長年連れ添った夫婦の見た目や考え方が似てくるのも、お互いがお互いに影響しあって生きている証拠です。
心理学などでは、「他人は自分の鏡」と言われます。
子育て本なんかにも、「子供は親の鏡」ということが書かれています。
僕の愛読書であり、世界的名著『自助論』にもこんなことが書かれています。
他人を動かそうとする時、あれこれ命令するだけでは上手くいかない。
まず自らが手本を示さなければいけない。
「人に何かをしてもらいたいと望むなら、自分が率先してそれをやるべきです。口先ばかり達者でも何の役にも立ちません。
自助論/p.244
世間では、「私の言う通りにせよ。私のやることを真似しなくてもよい。」などというのが普通だが、実際の人生経験ではむしろ言葉より行動が重視される。
人は誰でも、多かれ少なかれ、耳より目を通してものごとを学ぶ。
とくに幼少時代にはこの傾向が強く、「目は知識専用の入り口だ」といっても過言ではない。子供は、見たものを無意識に何でも模倣する。
家庭教育が重要だと言われるゆえんはそこにある。いくら学校教育が有益だとしても、家庭で示される手本のほうが、子供の性格形成にははるかに大きな影響を与える。
自助論/p.238
僕たちは、知らず知らずに周りの影響を受けているし、自分も誰かに影響を与えているんです。
そのことについてもう少し深く掘り下げてみましょう。
人間の脳にはミラーニューロンがある
脳にはミラーニューロンという「モノマネ細胞」があります。
僕たちが相手の気持ちがわかったり、相手を理解することが出来るのがこのミラーニューロンの働きによるものです。
赤ちゃんは、このミラーニューロンの働きによって、親や他人の行動をマネして学習し、いろいろなことを覚えていきます。
大人も人のマネをすることで学習し、料理やスポーツ、生き方まで幅広く自分を成長させることが出来ます。
だから、自分の周りにすでに尊敬出来る人や、お手本になる人がいる人は幸運と言えるでしょう。
人が変わるには3つしかないと言われています。
この中で人からの影響が大きく変わるのが、③の「付き合う人を変える」ことです。
付き合う人を変えることで、無意識にその人のマネをしてしまうんです。
僕たちは、周りの環境や付き合う人に影響を受けています。
良い見本ならいいんですが、悪い見本が近くにいた場合ストレスも多いですし、意識しないと悪影響を受けることになります。
人は周りの5人の平均になる
「人は周りの5人の平均になる」という言葉を聞いたことがありますか?
僕が最初にこの言葉を聞いたのは、ある経営者からでした。
「類は友を呼ぶ」というように、人は自分と同等と思える人と付き合う方が心地よく感じられます。
自分が高卒の年収300万の会社員だったとして、大卒の年収1,000万の人と仲良くなれるイメージが湧きますか?
自分は、休日は家にいるのが超好きなインドアなのに、多趣味のアウトドアな人と仲良くなれるイメージが出来るでしょうか?
自分と全く違う人とは、なかなか長く付き合えないものです。
そうやって無意識的に、自分にとって心地いい人たちが周りに集まってくることになります。
これもお互いがお互いに影響しあっている証拠と言えます。
他人は力づくでは変えられないので、離れられるならその環境から(人から)離れるのも1つの方法です。
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次は、力づくではなく、相手に変わるきっかけを与える方法について紹介します。
他人が変わるきっかけを与える質問力
相手を変えるきっかけを与えられる人は、質問上手です。
コーチングを本職にしている人たちは、その典型例です。
僕たちは1日に6万回思考していると言われています。
その大半はネガティブな言葉なものだそうです。
ネガティブ思考だという自覚があれば、1日の99%はネガティブな言葉を自分にかけていると考えた方がいいかもしれません。
コーチングをざっくり説明すると、本人の思考の方向性を変える手伝いをしているという感じでしょうか。
なんで焦って転職しちゃったんだろう…。前の仕事の方が良かったような気がする…。
こうやって、前の仕事と今の仕事を比較して、後悔している人がいるとします。
キッカケを与えるコツとしては、後ろ向きに考えてしまっている本人が前を向けるような質問をすることです。
悪い点に焦点が当たってしまっている人は、それ以外に焦点が当たらなくなってしまってしまっています。柔軟な思考ができなくなってしまっているんですね。
だから、良い方に焦点を当てるような質問をして、考える枠組みを与えてみましょう。
僕ならこのように質問します。
転職して前より良くなったこととか、改善された事ってある?
人間が変わるには時間がかかります。
力づくで変えようとすれば、一時的にあなたの考えに従ったように見えます。
しかし、相手は根本的には何も変わっていません。
人を変えたいと思った場合、コーチング的な要素が必要になりますし、「待つ」という信頼と忍耐がいります。
相手をコントロールしようとすると、必ず反発があります。
相手を変えたいと思ったら、この言葉を心に深く刻んでおいてください。
『人事を尽くして天命を待つ』
心の持ち方としては、「自分に出来ることを全力でやったなら、あとは変わるか変わらないかの選択は相手にある」と考えた方が、心を病むことがありません。
相手をコントロールしようとすると、最後には自分がそのストレスでやられてしまいますよ。
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他人は変えられないけど変わって欲しい!ストレスのない心の持ち方のまとめ
では、最後におさらいです。
・期待をかけるけど、期待しない
→「変わって欲しい」と願ったり望んだりするけど、変わるかどうかは相手次第
・人にはマネする性質がある
→自分が手本を示す
・「北風と太陽」の太陽を目指す
→前向きな質問をして、相手に変わるきっかけを与え続ける
・人事を尽くして天命を待つ
→自分に出来ることをやったら、成り行きを見守る
※間違っても相手をコントロールしようとしない
自分の考え方を見直したり、質問力を高めることは、人間関係のストレスを減らしたり、後輩育成や今後の子育てにおいても、かなり大事になってきます。
社会人になって自分が関わる仕事以外のことを積極的に学ぶ人は少ないようです。
自分で学ぶ姿勢を持っていると、悩みも激減します。
参考書籍
【人を動かす】
【コーチングが人を活かす】