客の”好むもの”を売るな、客の”ためになるもの”を売れ!
これは、近江商人の商売十訓の中の一節です。
近江商人とは、江戸時代から明治にかけて全国各地に進出し、「豪商」と呼ばれるまでに発展しました。大坂商人・伊勢商人と並ぶ日本三大商人のひとつです。
人目が気になるし、自信がないけどどうすればいい?ってことが知りたいんだよ!なんで商人の話?
こう思われるかもしれません。
これは商売の本質であるとともに、人間関係の本質をつく言葉です。
人の目が気にならなくなり、自信を持つためには、人の好む行動ではなく、人のためになる行動をとるように心がけることです。
そのためには、他人軸ではなく、自分軸で考える必要があります。
誰でも必要以上に人目を気にすることなく、自信を持って生きられるようになります。
人の目をすごく気にしてしまうのは、人の”好みそうな行動”をしているからです。
以前の僕は、相手に気に入ってもらえるように、相手に気を遣いすぎて結局自分が疲れてしまっていました。
超能力者でもない限り、表情だけを見ても、相手の望みを100%当てることはできません。
だから、誰もが少なからず「どの行動が正解なのか」という不安を持っています。
そして、次のような思いがあると不安が増し、「どれが正解なのか?」と迷いが生まれ、自信がなくなっていきます。
・嫌われたくない
・悪い印象を持たれたくない
・評価されたい
僕は、「自分がどう思われるか?」しか考えていなかったんです。
表面的には相手に気を遣っているようで、実は”本当に気にしている”のは自分の評価だけ。
相手の望み通りの行動をしなければ、
・嫌われてしまう
・悪い印象を持たれて、評価が下がってしまう
と思っていました。
あるきっかけで「人がどう思うか」ではなく、「相手のために何ができるか」ということを意識した結果、知らない間に評価されていたり、好かれていることが多くなりました。
人の目が気になって自信がなかったころの僕は、
「人がどう思うか?」を軸に自分の評価ばかり気にしていました。
人の目が気にならなくなって、自信を持てるようになってからの僕は、
「自分は何が出来るか?」を軸に、人のためになっているかを気にするようになりました。
「他人がどう評価するか」は”変えられない”という事実
過去や天気・自然災害などの外的要因ともう一つ変えられないものがあります。
それが、他人です。
他人にどのように評価されるかは、自分でコントロールできません。
「嫌われる勇気」で一躍有名になった精神科医え心理学者のアルフレッド・アドラーもこう言っています。
他人の評価に左右されてはならない。
ありのままの自分を受けとめ、不完全さを認める勇気を持つことだ。
他人の評価が気になり、常にそれに応えよう、嫌われないようにしようとすることは、大きなストレスを生みます。
自己犠牲ばかりしていると精神的に辛くなってきます(体験談)。
「自分はどうしたいか」という主体性を持って、他者に貢献する気持ちで”人のためになる”と思うことをすれば、精神的に豊かな気持ちになります。
「そんなのは”究極の自己満足”だ!」と言われるかもしれません。
超能力者でもない限り、表情だけを見ても、相手の望みを100%当てることはできません。
相手の望みがわからないから、不安に思うんですよね。
その不安の種が0になることは永遠にありません。
だから、僕は次の言葉を大事にしています。
自分がして欲しいと思うことを相手にもする。そして、見返りは求めない。
自分がやった行為に相手がどう思うかは自由。
自分が”良い”と思うことをする。
たったこれだけです。
相手が自分をどう評価するか、自分がやった行為にどう思うかはコントロールできません。
コントロールできるのは自分だけなので、僕は「自分が何をするか」ということに集中することで、他人の目は、ほとんど気にならなくなって”かなり楽”になりました。
他人は自分が思うほど、自分のことなんて考えていない
以前の僕は、「いい人」でいたかったんだと思います。
めちゃくちゃ自意識過剰で、少しでも渋い顔をされたり、グループで集まってヒソヒソ話をしているのを見ると、
・自分が何か悪いことをしたんじゃないか?
・自分の悪口を言っているんじゃないか?
こんな風に思っていました。
相手に媚びた態度をとって、後悔することもありました。
こうした自意識過剰な考え方を「自己標的バイアス」と呼びます。
この傾向が強い人は、人間関係においても不安や心配事が絶えず、自分自身のイメージがマイナスになりやすい傾向にあります。
・周囲から変に思われているかも
・自分はあの人に嫌われているかも
というように、周囲を気にしすぎてしまい、被害妄想に入り込んでしまうことが多くなります。
だから、職場で同僚とすれ違って、挨拶もされなかった時にこう思ってしまいます。
きっと自分と話したくないから、気づかないフリをしたんだ…
実際は、処理しなければいけない仕事が多くて、本人に心の余裕がなかったのかもしれません。
何か考え事をしていて、たまたま気づかなかっただけかもしれません。
四六時中”特定の誰か”のことを考えてしまうのは、恋に落ちた時くらいじゃないでしょうか?
それ以外の時は、
・今日の昼は何食べよう?
・家に帰ったら何をしよう?
・今度の休みはどこに行こうかな?
結構自分のことを考えていませんか?
これは他人も同じです。
人間ってビックリするくらい自分のことしか考えていません。
1日の9割以上は、自分についてのことを考えているんじゃないでしょうか。
だから、他人に気を遣える人が尊敬されたりするんだと思います。
人間関係の2:7:1の法則
アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズが「2:7:1の法則」があります。
これを知っておくと、必要以上に気を遣いすぎて家に帰ったらグッタリなんてことも無くなると思います。
僕は、この考え方を知って「確かにな」と思い、人間関係について割り切れるようになれました。
仮にあなたの周りに10人いたとしたら、
2人は気の合う人
7人はどちらでもない人
1人は気が合わない人
あなたが災害や飢餓で苦しむ人たちに寄付をしたとしましょう。
それに対して、興味や関心を持ったり、心から共感してくれる人が2人。
寄付したことは知ってるけど、あまり関心を示さない人が7人。
「偽善者ぶって…」とチクチク言ってくる人が1人。
大体こんな感じになります。
『イソップ物語』をもとにした話をしましょう。
ある男に息子がいたのですが、その子は人から醜いと思われるのを恐れて家を出ようとしませんでした。父親は、人がどう思うか気にするのはやめて、”自分の心に従うように”と教えます。
このことをよくわかってもらおうと、何日間か、父親は息子を市場へ連れていくことにしました。
最初の日、父親はロバに乗り、息子は歩いて行きました。すると通行人は「こんな暑い日に子供を歩かせている」と父親を非難しました。
2日目は、息子がロバに乗り、父親が歩いて行きました。すると今度は「年寄りを歩かせて自分が楽をするなんて親不孝な子供だ」と人々は言います。
3日目、ロバを引きながら2人とも歩いて市場に行くと、人々がバカにするのが聞こえました。「ロバが乗るものだって知らないのか」
その翌日、父親と息子が一緒にロバに乗っていくと、人々は「なんてロバの扱いがヒドイんだ」と言って怒りました。
5日目、2人はロバを背負って市場に行きました。すると市場にいる全ての人が笑い、彼らをバカにしました。
父親は息子に言いました。
「わかったかい?何をしようと必ず反対する人はいる。だから人の意見を気にせず、お前は自分が正しいと思うことをすればいいんだ。」
「好感度1位の芸能人」が「嫌いな芸能人8位」に入ることもあります。
世の中には、どんなにいい行いをしても否定的な見方をする人が一定数います。
僕はそれを意識することで、「嫌われる」ということに対する恐怖が和らぎました。
その場にいる全員に好かれるのは無理だと考えた方が、心もスッキリしてストレスも激減します。
他人の目が気になる人の3つの心理
他人の目が気になる人の3つの心理を紹介します。
改善は、自覚するところから始まります。
改善出来る人は、自覚して認められる人です。
ここまで読んでくれているあなたなら、それが出来ます。
いい人に見られたい
悪い印象を与えたくない、嫌われたくないという強い気持ちがあるからこそ、相手に不快感を与えていないか不安になってしまいます。
人の評価=自分の評価になってしまいがちなので、人から認められることを渇望しています。
自分の行動が全て見られている気がする
誰かに見られている気がしたり、自意識過剰タイプです。
周りにいるみんなに自分の言動や行動、態度全てを見られているような気がするため、自分の思いよりも、”人に良く見られる振る舞い“をしてしまいがちです。
できるだけ人に見られたくない
コミュニケーションが苦手な人に多いです。
出来るだけ誰にも見られたくない、人と関わりたくないという気持ちから、周りに人がいる状況そのものが気になります。
周りに人がいない場所で、個室で1対1なら話せるというのも、周りが気になる人の特徴です。
実際、他人はあなたが思っているよりも、あなたのことを気にしていません(笑)
それが、家族であろうと、友人であろうと、恋人であろうと。
みんな自分の人生で精一杯なんです。
僕も以前は自意識過剰で周りを以上に気にして、1対1で喋っていても、誰か近づいてきたら話をやめて通り過ぎるのを待っていました。
カラオケで自分が歌っている時に、店員さんがドリンクを持って部屋に入ってきたら、歌うのやめる心理に近いのかもしれません。
店員さんが自分の歌を聞いて、
・上手かったor大したことなかった
・歌の選曲のセンス
などを、評価されているような気がしてしまうんですね。
実際、僕の歌に興味を持つ店員さんなんて0.00000000001%いればいい方じゃないですか(笑)
人の評価が気になる人は、自分でも人を評価してしまっている人が多いです。
実際僕は、人の悪口を言わなくなったことで被害妄想が無くなりました。
人を「あの人はいい人・ヒドイ人」と評価しなくなったことで、人からの評価も気にならなくなりました。
「人の目が気になる」「自信がない」と感じたら、相手が”好むこと”ではなく、相手の”ためになる”ことをしよう
健全な人は、相手が自分の期待と違う行動をとっても、それで相手を嫌いになったり仲間外れにしたりしません。
社会の中で人と関わって生きていると、どうしても世間体や自分への評価が気になってしまうこともあります。
そんな時は、「人は自分のことをそんなに気にしていないんだ」ということを思い出し、自分の印象を良くするための行動ではなく、相手のためになる行動をとることがあなたの”自信”にもなります。
幸せや自信を相手にもらおうとしているうちは、本当の幸せや自信は手に入りません。
僕は、自信には他者評価で手に入るものと、自己評価で手に入れるものと2種類があると思っています。
自己評価だけで100%満たしてしまうと、自己中な人間になります。
他者評価だけで100%満たそうと思うと、依存体質になります。
結局バランスなんですが、人の目が気になるし自信がないというのは、自己評価が低く他者評価でそれを埋めようとしている状態です。
自己評価がある程度高くなれば、他者評価をそれほど必要としなくなります。
自己評価を高くする方法は、自分で考えて”人のためになる”と判断して実行することを繰り返すことです。
人の目が気になる時は、他人の価値観に合わせ、他人の考えを重視し、自分の考えを殺して、人を優先します。
人の目が気にならない人は、自分の価値観を明確にして、他人の考えを気にしつつ、自分の考えに従って自分を活かします。
自分で選んで実行し、それに責任を持つこと。
それの積み重ねが自信になります。
いきなり、「自分軸を持て」と言われても難しいと思うので、自分の軸の育て方を紹介しておきます。
自分軸を育てるには、自分で選ぶ機会を増やして、その結果が良くても悪くても、「自分で選んだ」という責任を持つことです。
自信を持って、相手のために行動するための自分の軸の育て方
この記事の中でも、紹介した『イソップ物語』の例の引用元でもあります。